――四国最大の都市である松山市に隣接し、恵まれた自然環境と利便性の高い地理的条件から、県都のベッドタウンとして発展を続ける愛媛県東温市。東洋経済新報社の「住みよさランキング」で県内1位となり、医療や福祉が充実した町としても知られています。
そんな東温市の美しい里山の中に佇む古民家宿、「瀧乃元 近藤家」。明治23年に建てられた歴史ある日本家屋をリノベーションした、一棟貸しの宿泊施設です。オーナーを務めるのは、松山市出身の吉金正晃さん。吉金さんは、暮らすように滞在できる古民家宿で、訪れる観光客に非日常感溢れるおもてなしを提供しています。
観光に携わり続けた会社員時代、一念発起して起業へ
――まず、吉金さんの経歴をお聞かせください。
【吉金】
出身は、愛媛県松山市です。小・中・高・大、母校は全て松山城の近く、文京町という地区に集中しています。大学を卒業してからは、旅行会社に3年ほど勤務した後、愛媛県東温市の「坊っちゃん劇場」という観光施設の営業職に就きました。劇場のオープンが2006年4月で、僕が2005年の9月入社。オープン半年前の社員第一号でした。
坊っちゃん劇場では、全国の旅行会社をまわり、団体旅行やツアーの中に坊っちゃん劇場を入れてもらえるよう企画提案するなど、主に観光客を連れてくる営業を担当していました。10年ほど在籍しましたが、本当にいい経験、いい勉強をさせてもらいましたね。
――会社員から起業に至った理由や経緯をお聞かせください。
【吉金】
起業熱みたいなものに浮かされて、2014年に坊っちゃん劇場を退職しました。退職後は、東温市で農水省の補助金を活用した5カ年の地域活性化事業に携わり、地元のお米やどぶろくを道後温泉街の旅館などに売り込みに行ったり、色々なイベントに出店したり、販路拡大を目指すプロジェクトに臨みました。
もともと旅行は大好きですし、観光業に十数年携わってきたので、その事業に関わっている時から、「宿泊業をやりたい」と思っていまして。そこで、当時プロジェクトで関わっていた井内地区で宿泊業ができる物件を探したのですが、いい物件に巡り合えず、エリアを広げて色々な方に声をかけた結果、現在の近藤家となった古民家を紹介してもらい、2018年の開業に至りました。
古民家の魅力を全身で感じられる非日常空間
――「瀧乃元 近藤家」のコンセプト、宿のご紹介をお願いします。
【吉金】
近くに観光名所の滝があることと、この家はもちろん、この地区に近藤姓が非常に多いことから、「瀧乃元 近藤家」と名付けました。
宿のコンセプトは、非常にありふれた言葉ですが、やっぱり非日常ですね。日常を忘れて過ごしてもらう。何もないかもしれないけど、田舎暮らしを楽しんでもらう。合同会社の名前にもありますが、YOURSという言葉を大切にしていて、この場所を“あなたのもの”のように、別荘のように使ってもらいたいなと思っています。そのコンセプトのもと、例えば今では希少な存在になったレコードプレーヤーなど、自分自身が「こんなものがあれば面白いんじゃないか」と思うものを詰めています。
予約チャネルがWebなので、お客さんは自分で検索して予約する層、年代でいうと30~40代の方が多いですね。
――実際にお客さんと接しているなかで、どんな声をいただくことが多いですか?
【吉金】
自分でいうのもなんですが、お客様には喜んでいただけているのでは、と思います。もともと料理人ではないので、趣向を凝らした料理はできませんが、「ご飯が美味しかったです」と言っていただくことが本当に多いですね。
――ご飯を土鍋で炊いたり、採れたての野菜やジビエ料理をお出ししたり、料理人ではないとおっしゃっていますが、食に対して強いこだわりがあるようにお見受けします。
【吉金】
どうでしょう(笑)。でも、自分自身が食べることが大好きなので、やっぱり美味しいものを出したいという想いはありますね。料理は素材の味を活かして、丁寧でシンプルな美味しさを心掛けています。別部門で卸売業もしているので、プロの料理人に直接聞ける環境があることや、会社員時代に出張が多かったので、色々な地域の色々な料理を食べてきた積み重ねなども影響しているのかなと思います。
――オープンから丸3年経ちました。これまで苦労されたこともあったのではないでしょうか?
【吉金】
一人でやるのは大変なことも多いですが、その分やりがいはありますし、仕事が嫌だなと思ったことは一度もないですね。今は手伝ってくれる人がいるので、たまに息抜きができますけど、本当に忙しい時期など、自分でもよくやっていたなと思う時はあります(笑)。
思いを共有できるパートナーを増やし、描く夢をカタチに
――いわゆるワンオペにこだわってきた理由はあるのでしょうか?
【吉金】
ワンオペだと次のステップに行きやすいんですよね。ワンオペで運営が成り立てば、1軒目の宿を誰かに任せて、自分は次の宿に取り組める。その宿も任せられる人が現れたら、また自分は次の宿や別の挑戦ができる。無理して社員を雇用するつもりはありませんが、自分の思いを共有できるパートナーは増やしていきたいですね。
――新たに始められるグランピング施設についてもお聞かせください。いつ頃オープン予定で、どんな施設にしていくのでしょうか?
【吉金】
グランピング施設は「近藤家別邸 花澄」という名で、2021年12月のオープンを予定しています。今はドーム型テントが1棟ですが、ゆくゆくはもう1棟建てて、中通路を繋げて、近藤家と同じ定員2~6名のワンオペで運営したいと思っています。
こちらも一棟貸しの宿で、1泊2食付き。敷地内には、ハンモックやプライベートサウナを設置する予定で、家族や友達同士でゆっくり過ごしてもらえる空間を目指しています。
――最後に、今後の目標をお聞かせください。
【吉金】
まずは、この東温市で宿をもう1軒つくりたいですね。オープン予定のグランピング施設も含めて、早く3軒体制にしたいと思っています。3軒目は、地鶏料理の食べられる場所にしようかなと、ぼんやり思い描きながら物件を探しています。
東温市で3軒持った後、海のある町で、同じく一棟貸しの宿に特化した事業を進めていくことも先々の目標ですね。性格上、同じ場所にずっといることができないので、「夏は海で働いて、冬は山で働く」みたいな、旅をする感覚で働くことが僕の夢です。
吉金さんとのSo-Gu体験
吉金正晃さんとは、愛媛県東温市でSo-Guできます。
①囲炉裏を囲みながらローカルビジネスを考える
愛媛県東温市を中心に、地域に根ざしたビジネスに注力してきた吉金さんとローカルビジネスについて語り合うプログラムです。
これまでの事業や今後の展望など、リアルな体験談も交えながらお話しします。ローカルビジネスに興味のある方、既に地方で事業を進められている方、生の声を聞きたい方など、昔ながらの囲炉裏を囲みながら一緒に楽しく語り合いましょう!
・「瀧乃元近藤家」に現地集合。
・自己紹介の後、宿を見学。
・宿泊施設「瀧乃元近藤家」についてのお話。
・飲食施設「離れ流水庵」のについてのお話。
・起業~現在までのお話。
・今後の展望やディスカッション。
【瀧乃元近藤家】
明治23年に建てられた古民家をリノベーションした一棟貸しの宿泊施設です。心落ち着く日本家屋で日々の疲れを癒し、地元産の食材を使った料理に舌鼓。夜には、満天の星空も楽しめます。田舎暮らしを全身で満喫できる、特別感のある宿です。
https://kondoke.yours-llc.net/
体験場所 | 瀧乃元 近藤家 |
所要時間 | 60分 |
料金 | 6,300円 ※飲食や宿泊利用の場合は別途料金。 |
予約リクエスト期限 | 3日前の17:00 |
②「離れ流水庵」での1日スタッフ体験
「瀧乃元近藤家」の離れ、鴨蕎麦専門店の「離れ流水庵」で1日スタッフを体験してみませんか?
料理や接客といった表側の部分、経営や運営などの裏側の部分、オーナーの吉金さんが質問・疑問に何でもお答えします!移住プラス田舎での起業を考えている方、将来自分のお店を持ちたい方にとっては、価値ある時間や貴重な経験になること間違いなしのSo-Gu体験です。美味しい賄いも付きます!
・「瀧乃元近藤家」に現地集合。
・自己紹介や交流の後、店舗案内。
・鴨蕎麦専門店でスタッフ体験。
・表から裏まで何でもお答えします!
【離れ流水庵】
古民家宿「瀧乃元近藤家」の離れ、納屋をリノベーションした空間にて営業する、隠れ家的な鴨蕎麦専門店。看板メニューの鴨蕎麦のほか、地元産のパクチーを使った鴨フォーやジビエ料理なども楽しめます。
https://kondoke.yours-llc.net/ryusuian.html
体験場所 | 離れ 流水庵 |
所要時間 | 120分~ |
料金 | 3,200円 |
予約リクエスト期限 | 3日前の17:00 |
備考 | 現在の営業日は、土・日・月のみ。 |
吉金さんに会いに行く
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