――地域やコミュニティが一体となりながら、まちづくりに漸進する徳島県吉野川市。自然と仲間が集まり、人が動き、形になる。そして、その中心には、必ず原田真さんがいます。
地域の盛り上げ役として、先導する者として、その姿はまさに町おこしにおける指揮者のよう。今日も誰よりも楽しく、誰よりも一生懸命に、まちづくりに奔走しています。
19歳でカスタムカーのショップを開業する
――はじめに、原田さんの経歴と自己紹介をお願いします。
【原田】
出身は、吉野川市山川町(徳島県)です。1999年、高校卒業の数日前に長女が生まれて、卒業翌日から自動車屋さんで働き始めました。翌年の4月に2人目の子どもが生まれて、6月に退職、7月には独立してカスタムカーのショップを開業しました。
就職してから独立までの1年間は、終業後の夕方から別の自動車屋さんで夜中まで改造を教えてもらう生活をしていて、その自動車屋さんが阿波町(現:徳島県阿波市)にあったのですが、退職後にそちらの場所を借りる形で個人事業を始めた、というのが独立の経緯です。その場所には1年ほどお世話になり、地元山川町に戻ってきたのは20歳頃ですね。
――若くして起業した苦労はありましたか?
【原田】
バカにされました(笑)。どこに営業へ行っても、「19歳で成功するはずがない」「何も知らんやろ」などと、各所でめちゃくちゃ言われました。ただ、おかげで反骨心に火が点きましたね。
外への目線から地域へ、地元出身者として出来ることを
――地域活動に関わることになったきっかけをお聞かせください。
【原田】
言ってしまうと、お金をかけた者勝ちの世界に飽き始めていたんですよね。結局お金をかけた人がコンテストに勝てるし、トロフィーも獲れる。半分お金で出来レースみたいな。それが面白くないなと。
それに10年以上も続けていると、みんな結婚して子どもが出来たら車のカスタムを辞めていくので、コミュニティやお客さんの絶対数が減る一方なんですよね。毎日寝ても覚めても経営のこと、お金のことばかり考えているのが面白くなくて、会社を畳もうかと考えていた矢先に、柴田さんと眞鍋さん(眞鍋自転車店)に出会いました。
もともと地元で何か面白いことが出来ないかという想いはあったんですが、当時は外ばかりを見ていたので、何も出来ていませんでした。
2人と出会ったことで色々と吹っ切れたと言うか、一気に切り替わって、まちづくりに関わるようになっていきましたね。店も辞める前に一回もがいてみよう、とにかく動いてみようと思いました。それが3年前くらいなので、実はかなり最近の話なんです。
――まちづくりに動き始める際、自然と人が集まってきたのでしょうか?それとも、必要な人材に声をかけていったのでしょうか?
【原田】
自然と集まってきましたね。何かしたい人、面白そうだから寄ってきた人、人づての紹介もありますが、自然とコミュニティが出来ていきました。
――そこから具体的に仕掛け、動き始めたのは何の団体ですか?
【原田】
最初は、「吉野川市地方創生協力隊」です。市役所を巻き込みたかったので、ガチガチの名前にしました(笑)。今は「吉野川市ローカルクリエイター」という名に変わっていますが、地方創生を市と一緒にやろう、地元を盛り上げようと、2019年春に有志でグループを立ち上げました。その年の秋に吉野川市の美郷地区でイベントも開催しました。
ただ、任意団体ではなかなかお金が生めない。お金が生めないと地域おこしは出来ないので、法人格が必要だなと考え、2020年の2月に「一般社団法人ネイテック吉野川」を設立しました。法人格なら県や市の事業も受けやすくなりますし。
――ネイテック吉野川でおこなっている具体的な事業をお聞かせください。
【原田】
ネイテックが進める地方創生のプロジェクトを「まちごとデザインプロジェクト」と総称しています。昨年、コロナ禍のチャレンジを支援する「吉野川市チャレンジ事業支援給付金」という制度の採択を受けて、吉野川市のネット環境向上のためにフリーのWi-Fiスポットを十数カ所設置する、「まちデザFREE Wi-Fi」という事業をおこないました。
その他に、子育て世帯支援のオンラインサロンの開設や、Nintendo Switchあつまれ どうぶつの森™にバーチャル吉野川市「よしのがわ島」を作りました。
最近では、地元目線に立ったWebや映像制作、将来的なクリエイティブ人材の育成を目指し、「Yoshinogawa Creator’s Labo」というクリエイターチームを発足させ、早速お仕事の依頼もいただきました。基本的に、まちごとデザインプロジェクトの中で色々なものを作っている形になっています。
民間主導の観光協会を設立、循環経済の町を目指す
――個人でも会社としてでも、近々の展開予定をお聞かせください。
【原田】
吉野川市は数年前に観光協会が解散し、しばらく観光事業の受け皿が全くない状態でした。そこで、地域の事業者や市の職員と力を合わせ、従来の観光協会の枠にとらわれない民間主導の観光協会的組織「一般社団法人Kittamu」を2021年7月に設立しました(※代表理事に就任)。
Kittamuでは、ブロックチェーン技術を活用しながら、観光・循環・交流の各プラットフォームの構築を目指します。
近々では、「SOCIAL ENERGY」と提携し、吉野川市の新電力会社「ほたる電力」の運営事業を開始します。そこで得た収益の一部を地域の会社や団体、学校などに還元し、イベント運営や移住、子育て、起業などの各種支援に繋げていきます。地域のお金を地域の中で循環させる、循環経済の町への第一歩ですね。
――まちづくりをする上で地方には沢山の課題がありますが、原田さんは地方に必要なものは何だと思いますか?
【原田】
外からの声や実際に来てくれる人たちの受け皿がどれだけ大きく、どれだけ深いかが大事で、移住者や協力者をフォロー・サポートできる体制が強ければ強いほど良いと思います。
そのためには、若手経営者が集まる必要があります。若手経営者が集まれば、誰か起業したい人がいれば、多方面で人を紹介してくれるので、起業・開業のコストが抑えられる。テナント一つ開くコストも、誰も知り合いがいなければ桁が変わってきますし。
あとは、ミスしても誰も怒らない空気感も大事ですね(笑)。
――では、最後に今後の目標をお聞かせください。
【原田】
次に目指しているのが、アーティストを活かせる場所を作りたいと思っています。作品を作ったり、展示したり、コラボできる環境や飲食スペースもある、ちょっとした村のような場所が作れたらと。阿波和紙会館(吉野川市山川町)には世界的に活躍するアーティストも来ているのに、吉野川市は全然捕まえられていない。それが凄くもったいないんですよね。
その流れで、川から山のてっぺんまで使って吉野川芸術祭みたいなイベントが出来たら嬉しいですね。
原田さんとのSo-Gu体験
原田真さんとは、徳島県吉野川市でSo-Guできます。
共につくる吉野川市の新観光コンテンツ
進化し続ける吉野川市のまちづくりコミュニティの一員になりませんか?
日本初となる完全民間主導の“観光協会的組織”「一般社団法人Kittamu」を立ち上げ、代表理事に就任した原田さん。そのKittamuでは、吉野川市の新しい観光コンテンツをつくっています。
ブレストや吉野川市のコミュニティとSo-Guする中で、新たな誘客コンテンツを一緒につくりましょう! テーマやコンセプト、骨組みなどが出来たら、So-Gu後も継続的に関わり続けることで、企画したコンテンツの実施やまちづくりを直接経験することもできます。
・吉野川市コワーキングシェアオフィス「Ki-Da」で集合、自己紹介と交流。
・原田さんの案内で、吉野川市鴨島町や山川町を巡る。
・あわふじコワーキングにて、観光コンテンツのブレスト。
・コワーキングに集まるコミュニティメンバーとのSo-Guも楽しみましょう!
【一般社団法人Kittamu】
2021年、徳島県吉野川市で設立された、全国的にも稀な民間主導による観光協会的な機能を持った組織。
吉野川市における観光・循環・交流の各プラットフォームの構築を目指し、ブロックチェーン技術を活用したスマートシティ構想や収益を地域に還元する新電力事業などが現在進行中。
https://www.kittamu.com/
体験場所 | 【体験場所】徳島県吉野川市内 【集合場所】コワーキング・シェアオフィス「Ki-Da」 |
所要時間 | 120分 |
料金 | 10,000円 |
予約リクエスト期限 | 14日前の18:00 |
原田さんに会いに行く
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