#27 吉冨 慎作【先の読めない時代をポジティブに生き抜く人を育てる】NPO法人 土佐山アカデミー事務局長

課題を面白がれる人づくり

――高知県高知市から北に約30分、約94%が森林という中山間地域にある土佐山地区。明治の自由民権運動の時代から志ある人が集った「学びの村」でもあります。この地で、地域資源を活用しながら、企業・個人向けのワークショップや研修を通して人づくりを行うNPO法人「土佐山アカデミー」があります。

事務局長を務めるのは吉冨慎作さん。課題先進地と言われる高知の山間で、その課題を解決する最先端の学びに触れられる場づくりをおこなっています。設立10年を迎えた今目指すのは、先の読めない現代、個々の課題をポジティブに変換できる人づくり。

「学びの村」から面白い学びを発信する

――はじめに、吉冨さんのプロフィールをお聞かせください。

【吉冨】
山口県出身で、地元の高専を卒業後、グラフィックデザイナーになりました。その後、外資系広告代理店に転職して企業ブランディングやテレビCM制作などに関わりました。高知に来るきっかけは、坂本龍馬が好きだったのが理由のひとつ。それで、高知に来る機会が増え、高知への関心が深まりました。
そんな時、「次の100年のために」というメッセージを掲げ、サスティナビリティを教える、立ち上げ期の土佐山アカデミーの存在を知りました。

――土佐山アカデミーの事務局長なったのはどんな経緯からですか?

【吉冨】
当時、広告の仕事は、主体になれない物足りなさを感じていて、自分が面白いと感じたものを自分で広告する主体者になりたいと思っていました。また、本質的な豊かさとは、持続可能かどうかではないか考え始めた頃で。高知は、高齢化や人口減少など課題が山積しています。東京と真逆の、課題の最先端の地。そんな土地を拠点に持続可能性を学ぶ場を作ろうとしている土佐山アカデミーがすごく面白いと感じていたタイミングで、事務局長の募集が出ていることをSNSで知りました。
運試しに応募しつつ土佐山について情報を集めてみると、明治の自由民権運動の時代に「夜学会」が行われるなど、学びの風土を持ちここで学ぶ必然性がある「学びの村」だということが分かってきました。そして、2013年に事務局長になりました。

課題をポジティブに変換できる人を育てる

――今、目指されている「オモシロガリスト®」の育成とは?

【吉冨】
昨年、NPO設立10年を迎えるにあたり、今後のビジョンを考え直しました。その答えは、自然と共に生きる土佐山の人たちにあると改めて気づきました。昔から山で暮らす人には、しなやかさと強さがある。それはなぜかと考えると、置かれた環境を面白がれるかどうかではないかと。そこから、「オモシロガリスト®」というキーワードが生まれました。
今は、VUCA環境の中にあると言われています。VUCA環境とは、複雑で曖昧で先が読めない、流れの速い環境のこと。新型コロナウイルスの流行や、AI、5G、ブロックチェーン、SDGsとかいろいろなことが言われています。この時代に対応できる人がオモシロガリスト®です。

一つの課題があったとき、それをまず学びに変えられる、ネガティブをポジティブに変えられる、そんなポジティブな領域を面白がって作り出せる人になれれば、人生の選択肢が増え、今の時代がもっと生きやすくなると思います。

――面白がるとは、どういうことでしょう?

【吉冨】
実は、子どもが最もその能力があると思っています。例えば、鬼ごっこをしていても、その場にいる子の年齢や能力に合わせみんなが楽しく面白くなるように子どもたちはルールを鮮やかに変更する。上手くいったら今度はこうしようと、また考えを膨らませる。これはとてもクリエイティブなことだと思います。
面白がることによって気づきが生まれていきますし、気づきがあれば全ての遊びが学びになり、万物から遊び学べる。ということは、課題からも遊べるし、学べるので、課題を資源にすることもできます。みんな、子どもの頃はやっていたはずのことを、大人になって忘れているので、もう1回その作法を思い出そうよ、という感じで、土佐山アカデミーでは、ビジネスマンや個人が課題を面白がれるようになる学びを提供しています。

地域のお宝から、三方よしのアイデアを磨く

――土佐山アカデミーの取り組みについてお聞かせください。

【吉冨】
企業向けには、課題解決やチームビルディング、新規事業開発に向けたプログラムなどがあります。一般向けだと、草木染めやDIYなどのワークショップや、オンラインも含め土佐山に通いながら生業作りを実践的に学ぶ「EDGE CAMP」といったプログラムがあります。
10年間の活動で地域との関係性もでき、地域の課題を資源としてまとめたお宝地図ができあがりました。その資源を使ったり、新しい資源を見つけに行ったりしながらプログラムを進めています。

――プログラムの中で、大切にしていることはどんなことですか?

【吉冨】
自分の興味、得意分野をアイデアに変えることです。自分が興味ないと続かないので。あと、三方よしの考えができるよう導きます。地域にも、自分にも、世の中にもいいことが第一。ただ、それだけだとありがちなアイデアになりがちなので、これをいかに日本一や世界一、私だからできるとか、ニュース性があるといったフィルターを通して考えてもらう。そこで初めて本当のアイデアが生まれると思っています。

「遊びと学びの境界線をなくす」、「学び方を学ぶ」、「大人の才能の無駄遣いをする」ことにもこだわっています。例えば、世界最速のそうめん流しという取り組み。始まりは、生えすぎた竹と、急な山の斜面という地域課題でした。それを、プログラム参加者のJALのエンジニアの方と一緒に考え、流体力学でそうめん流しを世界最速にしようと試みました。一種の才能の無駄遣いですよね。そしたら地域の子供たちが喜んでくれ、孫を喜ばせたいと地域の人も積極的に参加してくれるようになりました。
こんな風に地域の課題を面白くするその変換方法を学んでほしい。その学びを、自分自身の人生の課題とか、企業や部署、生活の課題と結びつけて考えられるようなワークを僕たちはおこなっています。

「水の人」として人と人をつなぐ

――地域活動を盛り上げるためにおこなっていることはありますか?

【吉冨】
外から来る人である「風の人」と、地元の人である「土の人」がいて、この二つが合わさり風土が生まれると表現されることがあります。その間をつなぐ「水の人」もいて、僕たちはそれになりたいと考えています。
ここでも三方よしの関係を目指しています。風の人に、面白そうだから関わりたい、移住したい、知り合いを呼びたいと思ってもらえる必要がある。また、土の人に、移住者が来たらいいし、家を貸してもいい、地域の担い手になってくれたら嬉しいと思ってほしい。僕たち水の人も、この人同士をくっつけたら絶対面白いというモチベーションがいる。三方が面白がる人になって初めて、地域課題を面白くする相乗効果が生まれると考えています。

――今後の展望をお聞かせください。

【吉冨】
課題に向き合う手段として、オモシロガリスト®を増やしていきたいです。さらに、土佐山アカデミーとしての大きな役割は第3の選択肢を土佐山に作ることだと思っています。
土佐山の若者の選択肢は、都会に出るか、家業を継ぐかの2択が基本。けれど、土佐山にいながら、全国の様々な企業の方と最先端の仕事ができる、課題を解決する学びができるという第3の選択肢があれば、土佐山の子どもたちの生き方の選択肢が増えると考えます。
いつか地元の子どもが事務局のスタッフになってほしい。そのためにも、コロナで大変なときですが、土佐山でNPOがちゃんと続いて、信頼のおける団体だと思ってもらえるよう、証明していきたいです。

吉冨さんとのSo-Gu体験

吉冨さんとは、高知県高知市でSo-Guできます。

※現在、体験プログラム鋭意作成中。

>あなたの町の活性化、So-Guがお手伝いします!

あなたの町の活性化、So-Guがお手伝いします!

あなたの町にも、きっといるはず「面白い人」。
私たちSo-Gu運営チームは、人にフォーカスした地域活性や関係人口(地域のファン)の創出を全力でサポートします。
いま一度“会うことの楽しさ”を共に感じ、一緒に地域を盛り上げましょう!

【2021年8月、徳島県三好市との官民連携プロジェクトが始動しました!】

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