#28 藤川 豊文【木材の新たな出口を創造しながら山の未来を思う人】有限会社藤川工務店 代表取締役/ばうむ合同会社 代表社員

地域の総合窓口としての民間企業に

――四国の中央部に位置し、高知県4町村からなる嶺北地域。住宅建材としても使われる嶺北杉の産地で、古くから林業が盛んな地域です。そんな山の資源が豊富な嶺北地域に属する本山町で、100年以上前から林業、製材、家づくりに携わってきた「藤川工務店」。

代表を務める藤川豊文さんは、いま地域が直面する、一次産業者の減少という課題解決に向けたプロジェクトに挑戦しています。そのひとつが、自身が立ち上げた「ばうむ合同会社」がおこなう木材の新たな出口づくりと、一次産業者が主導権を握れる仕組みづくり。山の資源を守り、活用しながら、山で人々が暮らし続けられる未来のために。

山の循環のストーリーを伝える事業を

――はじめに、藤川さんのプロフィールをお聞かせください。

【藤川】
地元から早く出たいと思い、高知市の工業高校に通いました。その後、5年修行させてほしいと親に頼んで、横浜の住宅関係の会社に就職しました。ちょうどバブル期で仕事も忙しく、遊びも楽しくて。結局13年横浜にいて、家業を継ぐために32歳で戻ってきました。

――ばうむ合同会社を立ち上げる経緯を教えてください。

【藤川】
工務店の経営は順調でしたが、人口が減少し、地元に元気がないことが気になっていました。このままでは町全体がダメになる。そんな危機感があり、商工会青年部に所属して地域のイベントの手伝いなどをしていましたが、何かが足りない。その何かが見つからず約7年が過ぎました。

ある時、栃木県で地元産の木材を使って学童机づくりをする現場を視察し、「これだ!」と全てがつながったように感じました。本山町では、木を切って加工するまでを地域内でおこなっているので、その循環のストーリーを伝えられるし、子どもたちに地域の主産業である林業のことも教えられる。地域資源を活用すれば、いろいろな事業が展開できると思いました。

林業をビジネスとして成り立たせるためには、一次産業者が木を高単価で販売できる仕組みが必要です。雑貨や家具だと付加価値を付けて販売できるので、メーカーが木材を高単価で仕入れても成り立ちやすい。そこで、まず青年部の中に木部会を作って、木材を建材より高単価で仕入れて学童机を作り始め、その後、ばうむ合同会社を立ち上げました。

一次産業者が主導権を握れるように

――ばうむ合同会社の主な取り組みについてお聞かせください。

【藤川】
小学校に卸す学童机や、レーザー加工した木のコースター「もくレース」といった雑貨など、木材加工品を製造販売しています。売上の半分を占めているのが全国の百貨店です。プチギフト商品を求める層に好評で、売上は安定しています。百貨店からは新商品を作ってほしいと要望がありますが、専属のデザイナーがいないため、新商品開発まで手が回っていません。ですので、特にデザインの力を貸してくれる方と、このSo-Guで出会いたいですね。

ばうむで今目指していることは、一次産業者と密な連携をとることです。理想は、一次産業者が加工までして、私たちが販売のお手伝いをする関係になること。今は、原木仕入れではなく、一次産業者が板まで引いて、ウチが買い取っていますが、ゆくゆくはもくレースのような加工品を一次産業者自身で作るようになるといい。そうすれば、一次産業者が主導権を握れるようになると考えています。

――一次産業者が地域に残るには何が必要だと考えていますか?

【藤川】
農業や林業など一次産業者の住む割合が2割まで落ち込んでいるのが本山町の現実です。一次産業者が地域に残るには、主導権を握れるようになることが大切だと思っています。現状は、市場に値が左右されています。また、農業も林業も、今はほぼ出荷先が一つです。別の売り先のルートができれば、そこに競争が生まれる。いい物であれば高く買うというのが市場で当たり前になれば、木の質によって出荷先が選べるし、一次産業者の所得も上がります。町では今、ばうむと木質チップの製造メーカー、原木市場の3つが木材の主な出口になっています。この出口の選択肢がもっと増えてほしいです。

また、一次産業者が主導権を握れたら、自然環境も守りやすくなります。本山町の地域資源で生計を立てる私たちにとって資源を育んでくれる自然環境が一番大事です。「自分たちがご飯を食べるためには木を残しておかなければいけないので、年間の出荷量を決めてそれ以上は切りません」と言えるようにしていきたいです。

つながりを想像できる人を育てる

――「6歳になったら机を作ろうプロジェクト」とはどんなものですか?

【藤川】
山で木を切るところから作るまでを体験して、自分の勉強机を作ろうというものです。まず、親子で本山町に来てもらって実際に森で木を切ります。その後、木を乾燥させて机に加工できる状態になったらまた来てもらい、今度は机を作ります。その材料を調達するところから加工するまでの全体の物語がイメージできるよう説明しています。

体験を通して、子どもたちに自然の資源は循環しているということが想像できるようになってほしい。今、商品の背景が見えない人が多くなっています。太陽があって、雨が降って野菜が育つというような循環や、おもちゃ買うにしても、そのおもちゃを作るまでにたくさんの人が関わっていることを分かった上で買うかで、人間形成が違ってくると考えています。

新たな仕事や働き先を創造して

――飲食や不動産など、いろいろな取り組みをしているのはなぜですか?

【藤川】
工務店では、「みんなでつくるまちかどプロジェクト」に今力を入れています。地元の木材を使った100年もつ家づくりを念頭に置いた分譲地を販売しており、2022年4月にモデルハウスをオープンしました。100年もたせるには30年に1回、メンテナンスが必要です。部分的に補修できるのが木造のよさ。30年後に材料がないということがないよう、地域産材をなるだけ使うようにしています。

また、2019年には不動産事業も始めました。不動産会社には、最初に空き家の情報が入ってくるので、移住を考える人などのいろいろな相談に乗りやすくなりました。地域資源を活用して仕事を作りたいという人に町に来てほしいです。ほかにも嶺北産赤牛を使った中華料理を販売するキッチンカー事業もおこなっています。2022年9月には、ゲストハウスをオープンする予定です。名前は「創」といい、泊まられた方々が田舎を感じ、そこから何でも良いので創造していく集いの場を意味しています。

工務店業務をベースに、地域に仕事や働き先を作れるよう小規模な事業にいろいろ挑戦しています。行政に近い役割をする町の総合窓口のような民間企業になれたらと思っています。

――最終的に目指していることはどんなことですか?

【藤川】
地域内循環で全てが完結する仕組みを作ることです。コロナで物流の分断を思い知らされました。日本で作っていない物は、それが生活必需品でも入ってこない。野菜を育てていても加工場がなければ、食品として買えない。だから、できるだけ生産、加工、商品化まで地域内でおこない、消費し、余った分を地域外に売って、それがビジネスとして回るようにしていくのが理想です。

特に木材は、本山町に大量にあるので、エネルギーとしての使い勝手がいい。エネルギーとして木材を活用すれば、人をたくさん雇用する必要があります。町の人口増にも活かせる分野なので、これからの活動は、木材のエネルギー利用の事業に比重を大きくしていきたいと考えています。

藤川さんとのSo-Gu体験

藤川豊文さんとは、高知県本山町(長岡郡)でSo-Guできます。

※現在、体験プログラム鋭意作成中。

>あなたの町の活性化、So-Guがお手伝いします!

あなたの町の活性化、So-Guがお手伝いします!

あなたの町にも、きっといるはず「面白い人」。
私たちSo-Gu運営チームは、人にフォーカスした地域活性や関係人口(地域のファン)の創出を全力でサポートします。
いま一度“会うことの楽しさ”を共に感じ、一緒に地域を盛り上げましょう!

〇2021年~2022年
徳島県三好市「三好市官民共創地域ソリューション開発プログラム」
〇2022年
経済産業省「令和4年度地域・企業共生型ビジネス導入・創業促進事業(地域・社会課題の発掘と解決に向けたマッチング)」

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