――田舎で暮らしたい。都会で生活する人のニーズは高まるものの、一方で条件に合った、働きたい仕事が田舎にないという声をよく聞きます。2017年、株式会社SHIFT PLUSの新規事業開発メンバーに採用され、東京から高知に移住した鈴木康太さん。最初に立ち上げたのは、人と人との出会いを意識した求人メディア「BUNTAN」でした。
そこから広がったさまざまな事業を通して、ITの力で地方の課題解決に取り組みつつ、鈴木さんはプライベートの遊びにも全力投球。登山やサウナを楽しむコミュニティを作ったり、山の古民家を購入して二拠点生活を始めたり。目指すのは、仕事とプライベートの境目のない生き方。
地方で幸せに暮らすために
――まず、鈴木さんの経歴を教えてください。
【鈴木】
静岡県出身で、大学で東京に出ました。その後、人材系とエンタメのベンチャー企業で新規事業の立ち上げに携わっていました。32歳の頃、東京とは違う働き方、暮らし方をしたいと思うようになり、移住を考え始めました。四国には一度も行ったことがなく、特に高知と徳島は全く想像がつかなかったので、逆に面白そうだと思いました。ちょうどその頃、東京で開催された高知県の移住フェアに参加。そこで、今働いているSHIFT PLUSが人材系の新規事業立ち上げに向けた求人をしていました。地方で成長していること、地方で新規事業に取り組もうとする企業マインドに共感して応募。2017年の1月に初めて面接で高知を訪れて採用が決まり、3月には仕事を辞めて、高知に移住しました。
――SHIFT PLUSに入社して、始めに取り組んだことは?
【鈴木】
人材系の事業を立ち上げることだけは決まっていましたが、他は白紙。そこで、僕のように地方で暮らすことを幸せと思える人が増える事業を始めたいと思いました。では、どうすれば、地方で幸せに暮らせるのか?1日の時間の使い方は、「働く」、「住む」、「遊ぶ」、「学ぶ」の4つに大きく分けられますが、この1日で一番長い働く時間が幸せであればいいと考えました。そこで、高知の企業と求職者をつなぐ就職支援求人メディア「BUNTAN」を立ち上げました。
大切にしたのは、ただ、会社や求人内容を掲載するのではなく、この人が働いている会社で働いてみたいと思えるような、人と人とが出会えるようなサイトにすることです。そこで、掲載企業で働く社員さんなどをしっかり取材し、その思いを紹介しました。また、情報の見える化にも力を入れました。当時、高知にIT系の求人がまとまったサイトはほとんどありませんでした。そこで、企業リストの載った冊子の最初の会社から問い合わせして情報を聞きながら、興味を持ってくれた企業に足を運んで掲載企業を地道に集めました。そうして、「BUNTAN」に情報を集約していきました。
今では地域を面白くしたいという人が求人を見て応募してくれること増えました。サイトをきっかけにマッチングして県外からUターンで戻ってくる人もいて、雇用づくりに関われているのが嬉しいです。
ITの力で地域を元気に
――ほかにはどのようなことに取り組んでいますか?
【鈴木】
地域創生事業グループでは、地域が元気になることをITの力でおこなう事業に力を入れています。高知にIT人材が必要ということで、県外からIT人材を呼び込む高知県の移住支援事業として「高知家IT・コンテンツネットワーク」を立ち上げています。ここで、高知県に興味がある人が集い、情報交換や交流をおこなっています。また、県内の企業と学生がオンラインで交流する「学生オンライン交流会」や、高知県内のワーケーションができる場所を紹介するサイト「BASE CAMP IN KOCHI」や「Haretoke」も運営しています。
そのほか、経営に必要な基礎知識を学ぶ「土佐MBA」の運営も担当しています。全国的にいろいろな講座がオンラインで開催されているなかで、弊社のオンラインへの強さが求められました。オンラインへの相談が増えてきたので、オンライン配信などの技術紹介ができる「ローカルオンライン」というサイトを立ち上げています。
――東京から高知に移住して、変化はありましたか?
【鈴木】
東京から高知に移住して、暮らしが10倍豊かになったというのが自分の感覚です。「東京で暮らすよりも地方で暮らした方がいいよね」と僕は思っているので、地方で暮らす人が増えてほしい。今の会社に出会えたという幸運もありますが、面白い仕事ができ、地域を面白くしたいという熱い思いを持った仲間と働けるので、8時間の労働時間が苦じゃない。残業もほとんどしないので、週末や祝日はプライベートの時間を楽しんでいます。
特に高知で面白いと感じたのが、飲みの場で知り合いが増えていくこと。東京にいたときは、仕事の人とは仕事だけ、プライベートの友達はプライベートだけの関係と、仕事とプライベートが分かれていましたが、高知だと飲みの場やプライベートの場でつながりができ仕事が広がります。東京での10年と高知の1年で、できた友達の数は同じくらいかもしれません。
――これから、SHIFT PLUSで取り組んでいきたいことは?
【鈴木】
東京から地方に移住する場合に課題と感じているのは、条件に合った仕事がないということです。地方で暮らしたいと思う人が働きたいと思える仕事をもっと増やせるよう、企業と一緒に取り組んでいきたいです。
また、地域課題に向き合えば向き合うほど、根深い課題が見えてきます。課題だと思っていたことが実は当人には課題ではなかったりするので、本当の課題の見極めが大切。これからも地域ではどうにもできない課題の解決に向け、愚直にチームでチャレンジしていきたいです。
仕事とプライベートの境界線のない暮らしを
――プライベートではどのようなことをされていますか?
【鈴木】
高知に来てすぐに登山サークル「LIFECAMP」を立ち上げ、仲間と四国の山に登山に出かけたり、キャンプをしたりして楽しんでいます。最近はサウナにもハマっていて。四万十市で作られている四万十ヒノキのアウトドアサウナを購入しました。川辺に自分でサウナを立てて、サウナに入って、熱くなった体のまま川に飛び込むという非日常が面白く、高知ならではの体験だと思っています。サウナのコミュニティ「アウトドアサウナクラブ」も作り、仲間と楽しんでいます。また、焚き火が好きなので、海や自宅で仲間と焚き火を楽しんでいます。焚き火に使う薪は、チェーンソーを使って自分で切って作っているんです。
それと、山間地域の本山町の古民家を購入し、自宅のある南国市との2拠点生活も始めました。自然の中で暮らしたり、仕事したりできるようにしていきたいです。
――今後の目標をお聞かせください。
【鈴木】
自分達が楽しんでやっていることが、地域の元気につながったらいいなと思っています。地方創生とは何かと考えた時に、自分たちが一番楽しむことが大事だなと。それに共感した人たちが自然に集まり、賑わいが生まれると考えています。
高知に来てから、遊びで出会った人と仕事ができ、一緒に成功体験を味わえることを面白く感じています。だから仕事とプライベートの境界線をなくしたいし、そんな生き方をする人が増えてほしい。まずは、自分が公私混同で楽しいことをやっていき、仕事とプライベートの融合にチャレンジしたいですね。
鈴木さんとのSo-Gu体験
鈴木康太さんとは、高知県高知市でSo-Guできます。
※現在、体験プログラム鋭意作成中。