――鳥取県西部に位置し、豊かな里地里山が残る西伯郡南部町。県内有数の古墳密集地域であり、美しい自然と歴史・文化が融和したまちです。そんな南部町でデザイン事務所を経営する吉田慎吾さんは、自社オフィスのある敷地を「バサリーヒルズ」と名付け、楽しそうにエリアを開拓しています。
デザイン全般からブランディングまで手掛ける
――はじめに、吉田さんの経歴をお聞かせください。
【吉田】
生まれは島根で、中学校から鳥取で暮らしています。高校卒業後は、東京のデザイン系の専門学校に進みました。卒業後、そのまま東京で3年ほど働き、退職後は半年間フロリダへ留学。帰国後は鳥取に戻り、米子市内の広告代理店に約5年勤めました。その後、28歳のときに独立しました。独立の際にWebデザイナーに転向して7年ほど活動しましたが、グラフィックデザインに戻り、現在に至ります。会社としては、グラフィックデザインだけではなく、そこから派生するすべてのデザインに関わりながら、ブランディングにも力を入れています。
――一度Webデザインに転向しましたが、やはりグラフィックが好きで戻られたのでしょうか?
【吉田】
そうですね。ただ、今は社員に優秀なデザイナーがいるので、自分自身が制作するよりも経営者的な立ち位置で働く方が楽しいですね。地方はいろいろなことをやらなければならないので、グラフィックだけに没頭していたら続けてこられなかったと思います。最近は、自分の住んでいるまちの将来を思うことも増え、耕作放棄地や空いた土地を活用できないかと考えています。
――普段は、鳥取県内のお仕事が多いですか?
【吉田】
地元のお仕事が多いですね。簡単につくれる時代だからこそ、地元のデザインの価値を我々が下げてはいけないと思っています。なので、本質をきちんとお話しして、理解できる方とお仕事をしています。
馬佐良からクリエイティブを発信し続ける
――オフィスのある「バサリーヒルズ」についてお聞かせください。
【吉田】
もともと祖父が養蚕業で使っていた小屋を利活用しています。小屋を改装してオフィスにしようと思ったとき、ここがd-magicだけだと、それで終わってしまうなと。それなら、この周りも含めて「バサリーヒルズ」と名付け、ほかの人たちも入ってきてくれたら楽しいなと思い、オフィス名ではなく、エリア名にしました。今は、アウトドアサークルの「LUMBER JACKS DAISEN」も拠点としてバサリーヒルズを使っています。この地区の名前が南部町馬佐良(ばさら)で、六本木ヒルズをもじって名付けました。エリアとして始めてから、5年くらいになりますね。
――今後、バサリーヒルズをどんな場所にしていきたいですか?
【吉田】
ビジネスにするか分かりませんが、物置になっている蔵があるので、改装して泊まれる場所にしたいと考えています。人との出会いがすごく好きなので、宿泊施設があれば確率が高まるじゃないですか。あとは、ハンバーガー屋をやりたいですね。クライアントにパン屋さんがいて、フレンチレストランをやっている同級生もいるので、連携しながら特色あるハンバーガーを作るのが夢ですね。
――そこには、やはり南部町を盛り上げたいという思いもあるのでしょうか?
【吉田】
自分が楽しんでやっていることが地域のためになったらいいな、というスタンスです。誰かの顔色を伺ってやるのではなく。なので、逆に言えば、この場所でどういう発信ができるかが勝負ですね。
――今後の目標をお聞かせください。
【吉田】
バサリーヒルズに集中したいですね。ここで何かをやることが南部町の活動として見られるとも思うので。先ほど話したハンバーガー屋のように、企業誘致ではないですが、ここに人がやってきてビジネスをする、という環境がつくれたらいいですね。また、場所を問わず働ける方が東京とバサリーヒルズで9:1でもいいので、二拠点生活の選択肢のひとつに考えてもらえると嬉しいです。
吉田さんとのSo-Gu体験
吉田慎吾さんとは、鳥取県南部町(西伯郡)でSo-Guできます。
※現在、体験プログラム鋭意作成中。